診断に使用される

免疫沈降法は免疫化学反応の一つで、医学分野では病気の診断に応用されています。この方法を用いて免疫反応を起こす原因となる抗原あるいは抗体の存在を確認したり、それらの量を測定したり特定の酵素の働きを調べたりすることができます。免疫沈降法では蛋白質を濃縮できるので、少ない抗原や抗体を検出できます。内科領域では膠原病とも呼ばれる自己免疫病の診断に用いられています。 自己免疫病の原因はいまだに不明ですが、本来は抗原として働かない体の自己の成分が抗原性を示して体に抗体を作らせたり免疫リンパ球が自己の組織を攻撃するために引きおこされる病気です。それらには、多発性筋炎・皮膚筋炎・リュウマチ様関節炎や全身性エリテマトーデスがあります。これら以外にも間質性肺炎や糖尿病など様々な病気で自己抗体が見つかっています。

内科で免疫沈降法が診断に用いられている病気には、多発性筋炎・皮膚筋炎や間質性肺炎があります。これらの病気では、RNAと結合する蛋白質であるアミノアシル転移RNA合成酵素(ARS)に対する自己抗体の産生がみられます。京都大学医学部附属病院・免疫・膠原病内科や金沢大学附属病院・皮膚科では、RNA免疫沈降法を多発性筋炎・間質性肺炎や皮膚筋炎の診断や治療方針を決めるために役立てています。 RNA免疫沈降法には特殊な技術が必要でしたが、名古屋市の株式会社・医学生物学研究所では、体外診断薬「MESACUP(登録商標)anti-ARSテスト」を販売しています。このテストは複数の抗ARS抗体をまとめて検査できるため、多発性筋炎・皮膚筋炎や間質性肺炎の補助診断に有用です。またELISA(酵素免疫測定)法という免疫沈降法より簡便な方法で検査できるため、多くの医療施設で実施されると考えられます。